両建てを利用して最初に取得した貸株だけで何回も空売りする方法「両建て無限空売り法」【株デイトレTips】

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株のデイトレ中に、空売りを何度もしたいけど、市場に貸株がほとんどない時ってありますよね。そんな時は空売りを何度もすることができません。

そのほかにも、空売り中にそろそろ1度手じまいしたいと思っても市場に貸株が無い時は、手じまいしてしまうと、手じまい後に貸株を取得できないため空売りができなくなってしまう時もあります。

空売りをしたいのに出来ないのは困りますよね。

そんな時には、両建てを利用することで最初に取得した貸株だけで何度も空売りすることができます。

 

今回はその方法を紹介します。

ただし、お使いの証券会社やツールによって実際の操作方法は異なるので、概念レベルでの紹介となります。実際の買い・売りの注文方法は利用されているツールの使用方法を参照ください。

 

なおここからは便宜上、両建てを利用して最初に取得した貸株だけで何回も空売りする方法を「両建て無限空売り法」と記載します。(恐らく他の名前が既にあると思うのですが、知らないので簡略化のため名付けました)

※このトレード方法は、あくまで両建てを利用した一般的なトレード方法です。空売りをするトレーダーなら利用している人も多い方法です。必勝法ではなく、特別優位性のある取引方法ではないので注意してください。

 

前提知識:両建てとは

多くの人は恐らく「両建て」自体は聞いたことがあったり、知っている人が多いと思います。

今回の方法では両建てを利用するため、両建て自体を知らないと出来ないので、まずは両建てについて簡単に説明しておきます。

両建てとは、買いのポジションと売りのポジションを同時に保有することを意味します。

例えば、とある株を新規で買建(買いエントリー)します。その後、買いエントリーしたポジションを保有した状態のまま、さらに新規で売建(空売りエントリー)をします。

そうすることで、買いと売りのポジションを両方保有した状態にすることができます。

 

「買いと売りのポジションを両方持つ意味なんてあるのか?」と思う人もいると思います。

両建てをしなくてもトレード自体は問題ありませんし、「実は両建てには特別な必勝法がある!」というわけでもありません。

しかしながら、両建てを上手く利用することができれば、デイトレをはじめとする、株のトレードにおいて役立つ局面がいくつかあります。

今回は、その両建ての活用方法の1つである、「貸株が少ない時に何度も空売りをする方法」を紹介します。

 

注意点:両建ては信用取引のみ利用可能。現物取引では利用不可

両建てをするには空売りをする必要があります。空売りは信用取引で利用することができますが、現物取引では利用できません。

なお信用取引であったとしても、証券口座や銘柄により空売りできない条件もあるかもしれないので、空売りできるかどうかわからない場合は証券口座に確認してみてください。

 

両建て無限空売り法のメリット

今回紹介する方法のメリットは以下となります。

  1. 市場の貸し株が無くなっても、初めに保有していた貸株を繰り返し利用して何度も空売りすることができる
  2. 空売りに対する手数料が1回分で済む

空売りには貸株に対する特別的な手数料がかかる場合があります。特に新興市場の銘柄は空売りを規制するため手数料が高めに設定されていることが多いです。

今回のトレード方法では貸し株を何度も取得せずに取引することができるため、何度も貸し株を借りて空売りをするトレードに比べて手数料を最小限に抑えることができます。

 

両建て無限空売り法のデメリット

続いて、今回紹介する方法のデメリットは以下となります。なおデメリットについては実際に試してみないとわかりにくいと思うので、初めての方はあまり参考にしなくて良いかもしれません。

  1. 両建てに慣れないと若干ややこしい
  2. 両建てのポジションを手じまいする必要がある
  3. 実現損益の結果が複雑になる。(約定履歴とあわせることで確認は可能)

両方のポジションを利用するため、複雑になりがちです。慣れれば問題ないと思いますが、それでも人間ですのでミスしてしまうこともあるかもしれません。

特に、両建てポジションを手じまいする際には利益・損失が変動する場合があるため、損失が出る場合もあります。(逆に言えば利益が出る場合もあります)

いつものトレードよりも若干の注意をする必要があるわけですが、利用するだけの価値は大いにあると私は思います。相場での空売りチャンスを何度も利用できるからです。

 

 

両建てによるポジションの凍結

買いと売りのポジションを同量の株数を保有して両建てしている場合、どれだけ株価が動いたとしても、利益や損失は相殺されるためポジションを凍結することができます。

例えば買いを100株、売りを100株もっていたとします。そこから株価が10円上昇した場合の含み益・損失は以下となります。

  • 買いポジション:10円×100株=1000円の含み益
  • 売りポジション:-10円×100株=-1000円の含み損

上記のように同数量の両建てをしている時は、どれだけ株価が動いても相殺されてプラスマイナス0になることがわかります。

イメージで言うとポジションを凍結したような状態を維持することができます。実質、ポジションを保有していない時と同じ状態(ポジション0)にすることができます。

 

この両建てによるポジション凍結は、様々な活用方法がありそうですが、今回は両建てによるポジション凍結を、最初に取得した貸株だけで何度も空売りするために利用します。

 

両建て無限空売り法の手順

前提のお話ができたところで、具体的な手順を紹介します。

手順1:新規売建をする

まず初めに、新規売建(空売りのエントリー)をおこないます。

例があったほうがイメージしやすいと思うので、ここでは例として、とある銘柄を1000円で100株空売りしたことにします。

上記の赤字部分は、この先の手順でも引き継いで利用するので覚えておいてください。

更に、この空売りエントリー中に、市場の貸株が無くなってしまったとします。つまり、手じまい(貸株を返済)してしまうと、もう空売りができなくなる状態です。

もし1度でも空売りを手じまいしてしまうと、市場には貸し株が無いので、もう空売りができません。困りましたね。

 

手順2:空売りを終了したい時に新規買建により両建てする

続いて、空売りのポジションを保有したまま、新規買建(買いのエントリー)をおこないます。

本来なら、空売りを手じまいするために返済買いをするタイミングなのですが、あえて新規買建をするのです。こうすることで、貸株を返済せずにポジションを凍結することができます。

例として現在の株価が980円として、100株を新規買建したことにします。この時の現在の状況は以下となっています。

現在の株価:980円

現在保有しているポジション

  • 買い:100株
  • 売り:100株

現在の評価損益

  • 1000円で100株の売建ポジション:+20円×100株=2000円の含み益
  • 980円で100株の買建ポジション:エントリーした株価のためプラスマイナス0

今のところ損失がなく計2000円の利益で、ポジションを凍結した状態(ポジション0)です。同数量を両建てしているので、この後にどれだけ株価が変動してもお互いに相殺し合うため+2000円の含み益のままとなります。

これは実質的に、「空売りを終了して2000円の利益がでた」という状態と同じです。

 

現在は買いと売りそれぞれ100株ずつ保有した両建ての状態ですが、お互いの損益が相殺されるため疑似的にポジション0と同じ状態と考えます。

つまり空売りが終了してポジションがない状態と同じになったので、また相場を観察して、新たにエントリーしたいポイントを探していきます。

なお次の手順では買いと売りのケースによって異なるため手順が分岐します。

 

(おさらい)現在保有しているポジション

  • 買い:100株
  • 売り:100株

 

手順3-a:新たにエントリーしたいポイントが買いの場合

新たに買いエントリーしたくなったら、新規買建を行います。

例として新たに100株を買ったとすると、現在のポジションは以下となります。

  • 買い:200株(増えた)
  • 売り:100株

買いポジションだけを増やすことで実質的に100株で買いエントリーした状態になります。

 

そして売りたくなったら返済売りをして100株売ります。

  • 買い:100株
  • 売り:100株

こうすることで再び手順2を終了した時点のポジションに戻ります。

これで買い側のトレードができました。

 

手順3-b:新たにエントリーしたいポイントが空売りの場合

新たに売りエントリーしたくなったら、現在の買いポジションの返済売りを行います。既に保有している買いポジションを手じまいします。

買いポジションを返済売りした後の現在のポジションは以下となります。

  • 買い:0株(減った)
  • 売り:100株

買いポジションを減らすことで実質的に100株で売りエントリーした状態になります。

 

そして空売りを再度手じまいしたい時に100株の新規買建をおこないます。

  • 買い:100株
  • 売り:100株

こうすることで再び手順2を終了した時点のポジションに戻ります。

これで売り側のトレードができました。

 

手順4:買いたい時に手順3-a、売りたい時に手順3-bを繰り返す

手順3-a、3-bは、ともにポジションが元の状態に戻るので繰り返すことができます。

貸株を1回も返済していないので、市場の貸株が既に無くなっていたとしても、何度も空売りできてしまうのです。便利すぎます。

この調子で好きなだけトレードを行います。

 

手順5:最後に買いと売りのポジションを手じまい(返済)する

最後に、取引を終了する際に、両建てしているポジションを両方とも返済します。

  • 買いポジション → 返済売り
  • 売りポジション → 返済買い

なお、この返済する際は利益や損失が変動するため、

  • 買いの手じまいの返済売りは高めに売る
  • 売りの手じまいの返済買いは安めに買う

ことができれば理想です。

 

なお、どうしても利益や損失を変動させたくない場合は、

買いポジションを現引き → 現引きして保有した株を使って売りポジションを現渡し

とすることで利益・損失の変動をせずにポジションを手じまいすることも可能です。

なお現引・現渡のルールや方法を知らないと出来ないので、わからない方はご利用の証券会社等に確認してみてください。

 

慣れるまでは1ティック0.1円刻みの銘柄で練習するのがおすすめ

今回の方法はいくつかの手順があって初回では難しく感じるかもしれません。そのため、はじめは1ティック0.1円刻みの銘柄で最小株数で練習することをオススメします。

1ティック1円刻みの銘柄では、通常100株で取引した際、1ティックで100円の値が変動しますが、0.1円刻みの銘柄だと10円にしかなりません。

そのため1/10スケールとなるため、練習や検証に利用しやすいです。

 

TOPIXの銘柄で1000円以下の株価の銘柄は1ティック0.1円単位で取引されます。

TOPIXの銘柄は時々入れ替えがありますし、株価自体が1000円を超える場合もあるため、銘柄自体を挙げても意味がありませんが、2023年4月現在では以下のような銘柄があります。

  • Zホールディングス(4689)
  • 日産自動車(7201)
  • ENEOS(5020)

など。

上記は1例ですので、ほかにも沢山あります。適当にネットで検索すれば最新の情報が出てくると思うので、探してみると良いでしょう。

 

貸株が無くなっても空売りできることが嬉しい

私は時間軸の短いトレード(スキャルピング)をしているので、1日の中で何度もエントリーします。そのため何度も空売りをしたい局面があるのですが、貸株がなくなると空売りができなくなります。

今回紹介した方法を利用することで、何度も空売りをすることができるようになるので、相場での取引チャンスを何度も活かすことができ、便利な方法だなと思っています。

慣れていないのかミスもしてしまいますが、スキャルピングにおいては何度も取引することになるので、空売りをするスキャルピングでは、ぜひ利用していきたい方法です。

 

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