2021年4月から商品やサービスの価格に消費税分を含める「総額表示」が義務化されることになりました。税込価格が表示されるようになることで、私たちの生活に何かが変化するのでしょうか。
今までの価格表示方法と、今後の価格表示を見比べると、違いがあることがわかってきます。
税抜き価格表示(今までの価格表示の方法)
平成26年、消費税率の引き上げに先立って「2980円(税抜価格)」といった税抜価格だけの表示を認める特例が導入されました。消費税が上がることにより、表示価格を税込にしてしまうことで消費者の購買意欲を下げる恐れを懸念した為です。
税抜き価格だけの表示を認める特例により、消費税率が上がる中で多くの店では消費者の購買意欲を保つため税抜価格表示を好んで使用されてきました。
消費者は消費税率が上がる中でも、目にする表示価格では税抜き価格で変化がなく金額据え置くことで、今までの価値観のまま商品の購買を決めることができたのです。
税込価格表示(2021年4月から義務化)
令和3年4月より税込価格表示が義務化されるようになりました。税込み価格で表示することになり多くの店では値札(プライスカード)を新しく準備することになりました。
さらに、消費者としても4月以降に目にする価格には消費税が上乗せされた価格となり、今まで以上の出費になると感じてしまうかもしれません。
税込価格表示により消費者が気を付けたいこと
税込価格表示されるようになり、直近では以下のような点に気を付けて価格を見る必要があるのではないかと思います。
本来は税込価格表示になっても金額に変化はない。むしろお得に。
税込価格の表示になったとしても、商品自体の金額が変わったわけではありません。多くの商品は今までの金額と変化なく提供されます。
またお店によっては、税抜から税込の価格表示に変更することで、消費者の購入時の気持ちを汲み、消費税分の値下げを行い、表示価格に変更が無いように努力しているお店もあるようです。
税込表示になっただけで、支払う金額自体に変わりはないですが、消費税分の値下げの努力をしているお店の場合は、むしろ消費者にとってプライスダウンに繋がって嬉しい金額表示になるでしょう。
また単純に、税込価格で表示されることで今後はよりシンプルに費用の計算ができるようになることもメリットとして考えられます。
消費税以上の値上げをすることも予想される
税込価格表示となることで、あえて値上げをするお店もでるのではないかと思います。
そう考えられる理由は以下の点にあります。
- 多くの商品が消費税込みの価格となり、必要以上の価格アップをしても印象に影響が出にくい
- 税込後の表示価格の語呂や見栄えが悪く、購買意欲低下に繋がってしまう
- 値札(プライスカード)や販売促進アイテム(チラシ等)の一新による費用がかかっている
例えば、今まで税抜2980円の商品は、消費税率10%とすると税込3278円と表記されることになります。
支払い額は同じなのですが、消費者としては2980円と聞いたほうが購買意欲が出てしまいますよね。こういった背景から、税込価格3278円の金額表示には魅力的では無いことが感覚的にわかるかと思います。
そこでお店としては以下のような価格設定がなされることも考えられます。
- 3500円、4000円というような、キリの良い表示にする
- 3333円とゾロ目にしてインパクトを出す
- 3980円という今までのお得に感じやすい価格表示を値上げで実現する
お店側としても、表示価格を見た時の消費者の購買意欲の低下にならないよう、価格の見え方に気を配らなければならなくなるのです。
最終的には購入する人の気持ちが大事
お店側の努力により消費税分の値下げを実施する店舗も出てくる中で、税込価格への表示価格の一新により、必要以上の値上げをするお店も出てくるかもしれません。
表示価格を不思議に思ったり気になってしまう商品があれば、必要以上に値段が上がっていないかを注意しつつ、消費者自身が表示されている価格でも買いたいと思う商品やサービスを選んでいくようにしましょう。
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